騎士道物語を読み過ぎて妄想にとらわれた初老の紳士が,古ぼけた甲冑に身を固め,やせ馬ロシナンテにまたがって旅に出る.決定的な時代錯誤と肉体的脆弱さで,行く先々で嘲笑の的となるが….主人公ドン・キホーテをはじめ登場する誰も彼もがとめどもなく饒舌な,おなじみセルバンテス(1547-1616)の代表作。(アマゾンより引用)
これは、なんとでも解釈できる小説です。
このドン・キホーテは、
騎士道物語(正義の騎士が悪党を倒して麗しの姫を救う物語)の読みすぎて、
現実と妄想の区別がつかなくなった老人が、
正義の騎士ドン・キホーテを名乗り、
隣人のサンチョと共に、旅に出る物語です。
彼らはあちこちでトラブルを起こし、
時には笑われ、時には痛い目を見ながら、
珍騒動を巻き起こします。
その意味で、この物語は色々と勘違いしている老人の愚かさを描いた、
滑稽な物語なんですが、
見方を変えると、偉大な騎士になれなかった男の悲劇を描いた物語とも取れます。
このように、なんとでも解釈できる小説であるのが、
このドン・キホーテの特徴です。
愚かで、誰よりも偉大な騎士の英雄譚
この小説でもっとも印象に残るシーン、それは
ドン・キホーテが風車に立ち向かうシーンです。
このシーンは、風車を巨人と見間違えている老人が、
その風車に突撃して吹き飛ばされる、愚か者の見本のようなシーンですが、
これも見方を変えると、
強大な巨人に立ち向かう偉大な騎士の英雄譚に見えます。
ここが肝心なところなのですが、彼には、風車が巨人に、
自分がとてもかなわないような強大な敵に見えているにもかかわらず、
「恐れもせずに、まるで本物の勇者のように」立ち向かっていったのです。
その、滑稽で偉大なシーンが、自分は大好きです。